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わらぐつの中の神様 ~大工さんはおみつさんの何にひかれたのか?~

わらぐつの中の神様 ~大工さんはおみつさんの何にひかれたのか?~_c0218426_1904612.jpg今日は、つなげる話し合いの3回目。校内研究の授業でした。校内の先生方と指導主事の先生が見に来てくださった。チャレスマクラスの子どもたちとやる始めての研究授業、たくさんの人の前で、子どもたちもきっと緊張するだろうけど、「いつも通り、いつも通り・・・子どもたちを信じて、ありのままの自分で、ありのままの子どもたちと授業を作っていこう。」そう自分に言い聞かせて授業に臨んだ。

 まずみんなで座席表を読み合う。線を引いたり、書き込みをしながら読んでいく。何度やってもクラスが凛とする。昼休みから戻ってきた子どもたちは、まだ開始のチャイムも挨拶もしていないのに、声を掛けなくても座席表を読み始めていく。こうしてどんどん授業の雰囲気が作られていく。友達はどんな考えを持っているんだろう?というワクワク感と、これから一人ひとりの考えをつなげあっていくんだっていう緊張感が伝わってくる。いいスタートだった。

わらぐつの中の神様 ~大工さんはおみつさんの何にひかれたのか?~_c0218426_192219.jpg今回、課題でグループを分け、子どもたちから課題を提案していくという形で授業をスタートすることにした。(黒板の課題も子どもたちに書いてもらった。)そして提案のあと、みんなで物語文の課題に関わるところを読んでいく。事前にパート分けしたところを〇読みをしていく。そうすることで一人ひとりが一つの文章を大切に読めるし、みんなでつなげていくっていうことを意識できると思うからだ。
授業後、校長先生から「もう少し長くパート分けしてもいいんじゃないか、物語り全体を37等分してもいいかもね」とアドバイスをもらった。

 ここまで約10分、いよいよ次はつなげる話し合い。課題は、大工さんはおみつさんの何にひかれたのだろう? 

 話し合いはいつもどおり、静かに、ゆっくり進んでいった。今日までの2時間、ビデオを取って毎回授業を振り返っていたのだけど、何だか授業が地味に見えてしまって、これでいいのか不安になってしまった。授業の後、参会者の先生から「すごい雰囲気だね。規律が取れているって言うのとまた違う。真剣な雰囲気、なんか新感覚だったよ」と話していただいてほっとした。自分の中で「いい授業」=「活発で発言の絶えない元気な授業」みたいな感覚が抜けないのかな…

でも失敗したことがある・・・
授業前に、立ち戻ってほしい物語の一文を 緑で板書しいておいた。
 たてにしたり横にしたり、しばらくながめてから
今度はおみつさんの顔をまじまじと見つめました。
 他に、大工さんの言葉も書き込んでおこうか迷ったけど、あまり書きすぎると子どもたちの発言がその文章に引っ張られてしまって考えが広がらなくなってしまうことがあったので、迷ったのだけど、「子どもたちから出された時に付け足そう」と曖昧にしてしまった。今思えばそこが失敗だった。

「どうして不格好なわらぐつを大工さんは買ったのか?」そのことに課題意識を持っている子が多かった。前回の話し合いでは、「おみつさんがどんな気持ちを込めてわらぐつを編んだのか」を話し合っていたので、今日の話し合いでも、不格好なわらぐつを買った理由からおみつさんの人柄を見抜いた大工さんの気持ちが見えてきた。発言は途切れることなくどんどん繋がっていくのだけど、わらぐつのところからなかなか離れなくなってしまった。

協議会でも話題になったが、Eさんの「本当にこのわらぐつを作ったのがこの人なのかな?」に繋げてH君が「おみつさんは、チャレンジする人っていうのが大工さんは分かったんだと思う」という発言をした。そこに二人の意見も重なっていった。それまでわらぐつを作っているときのおみつさんのこめた思いを話していた子どもたちがそこで明らかに大工さんの心の変化に視点を変えていくきっかけになった。さらに、教科書の大工さんの言葉とつなげていくことで、深まる可能性のある場所だったと思う。僕があえて、そこで立ち止まっていれば・・・・
「チャレンジ」って言葉は、クラスの目標に入っている言葉だから、それをあえて使ってくれたんだとしか思わなかった。後から考えてみると、そこで立ち止まることで大工さんとおみつさんの会話のやり取りでの心の変化が見えてきたはずなんだ。そして、J君の「大工さんは、おみつさんのわらぐつを通しておみつさんの性格、やさしさを見つけたんだと思う」という発言、Rくんの「この人の一生懸命な姿をずっと見ていたかった」そんな発言が続いたが、いまいちつながりが弱かった。この一つ一つの発言を大工さんの言葉からその心の変化と共につなげていけばもっと深められただろうな~。やっぱり、大工さんの言葉も書いておくべきだった。協議会後に、校長先生からも「読みを深くしていくためには、教師側の仕掛けが大事、黒板に大工さんの言葉を書いておくだけできっと違っただろう」とご指摘いただいた。瞬時の判断は難しい、だからこそ教材研究が重要なんだ。子どもたちが素晴らしかったからこそ、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

話し合いの後は、5分で振り返り。話し合って深まったことをノートに書いていく。協議会で発言できなかった子の手立ては?とあったが、発言できなかった子の方が、実はこの振り返りの文章を気持ちを込めてしっかり書いてくれる。その子なりの授業の参加の仕方がある。だからこれでいい。そして座席表の大切さが見えてくる。

 わらぐつの中の神様 ~大工さんはおみつさんの何にひかれたのか?~_c0218426_18322299.jpg協議会は、研究主任のH先生が付箋を使った新しいやり方を提案してくれた。質問を黄色の付箋  課題を赤の付箋 良いところを青の付箋に書いて。本時案を拡大したものに時系列に貼っていった。そしてそれぞれについて、質問を出していただいて、それに対して僕が答えていく。そしてそれだけではなく、それぞれの先生の考えや、私だったらこうする。というのを話していただいた。今までよりも一人ひとりの先生が話をできるようになり、有意義な協議会になった。それに書いていただいたたくさんの付箋は授業のフィードバックとしてありがたく頂くことができてよかった。

 協議会では、相互指名で話をつなぐ子どもたちの姿、友達の発言を真剣に聞く姿、子どもたちの様子を褒めていただいた上で、「教師が読み取らせたいことをもっと意図的に発問しないといけないのではないか?」「引っ張って行くことも必要じゃないか?」という言葉も頂いた。これは明らかに僕の未熟さ、授業のやり方の問題ではないと思う。

 同じように、板書に戸惑う僕の姿を見て「その場その場で瞬時に判断するって言うのは大変じゃないか?」「板書計画はどうなっているか?」という板書についての意見も出た。

板書の計画はもちろん立てている。ただ、それに当てはめることはしたくないと思っている。実は、1時間目の話し合いのビデオを見たときに、発言する子どもの顔ではなく、板書計画を見ながら聞いている自分の姿があった。その反省からも、計画は計画で、授業はそれを捨てて、子どもの発言をしっかり聞いて板書していこうと思った。

それに、発問にしても板書にしても、教える→教わるだけの関係ではなく、立ち位置は違えど、やっぱり子どもたちと一緒求め続けていきたい。一つ一つの授業を子どもたちと作り上げたい、一緒に考え抜きたい
」と思っている。

こうして意見を交わす中で、課題や自分が大切にしたい事が見えてきてとても勉強になった。同時にとっても安心した。正直、今回の研究授業は、初めて授業をするのが怖くなった。ある意味その時勝負の授業だし、それに僕の力で果たして授業として形にできているかどうか不安だったのだ。見せて大丈夫なのか?自分は信じてやっていることも受け入れてもらえるかが心配だった…。だからこそこうして意見をもらえたことはとってもうれしかった。

協議会の後、職員室で「子どもたちを信じる。任せる。待つ。っていう先生の言葉を、今日の授業を見て意味が分かったよ。いい刺激になった」とF先生からありがたい言葉を頂いてほっとした。
僕はまだまだ未熟だけど、今回の授業も反省ばかりだけど、今の僕が大切にしていることをありのままに出して、やり方ではなく「観」の部分で伝えることができたようでうれしかった。
by moomin0321 | 2010-11-10 23:56 | チャレスマ5年1組